脳卒中と前ぶれ発作
脳卒中はねたきりや要介護の原因の一位です。その後遺症は介護などで家族や周囲の人にまで深く関わってくるため予防が大切です.では脳卒中にならないためにはどのような事に注意したら良いのでしょうか? 脳卒中の発症に強く関わっている病気はいくつも明らかになってきています.高血圧症や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病や、最近では心房細動のような不整脈の重要性も増してきています.喫煙や運動不足、肥満などの生活習慣も関係しているといわれています.脳卒中関連の遺伝子もみつかっています.医学的根拠の無い雑誌の記事、健康食品などの誇大広告に惑わされない様に情報を正しく、冷静に見る目を養う事も大切です.
脳卒中の種類
脳卒中は脳血管障害とも呼ばれ、その名が示すとおり血管病変が原因の病気です.他の病気と違って分類が複雑で、たくさんの病名があるため「脳卒中は分かりにくい」と感じる方も多いのではないでしょうか.そこで、脳卒中の病名を整理してみましょう.
脳卒中は脳血管が破れて起こる脳出血、くも膜下出血と、脳血管が詰まって起こる脳梗塞に分類されます.脳梗塞はさらに心原性脳塞栓症、アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞に分類されます.
このように脳卒中の種類(病型)は血管の病変などから整理していくと分かりやすいですね.
脳卒中の症状
脳卒中の症状は、脳卒中の種類ではなく、出血や梗塞が起こった場所によって決まります.
脳卒中の話題あれこれ
加齢と共に脳卒中は増えることが知られています.九州大学第二内科の世界的に有名な久山町研究によると、80歳以上の高齢者は50歳代に比べて脳梗塞が男性は15.9倍、女性は24.2倍多く、脳出血は男性2.8倍、女性2.4倍 、くも膜下出血は女性で4倍 に増えると報告されています.高齢者で特に脳梗塞が増加している理由は、加齢に伴う動脈硬化と密接な関係があるとされています.
生活習慣病と脳卒中の関係を列記してみましょう…
脳卒中の前ぶれ発作
脳梗塞には「前ぶれ発作」といわれる前兆がみられることがあります.
これを一過性脳虚血発作と呼び、とても重要な出来事です.Transient Ischemic Attack の日本語訳です.英語でも長いので略して TIA と呼びます.脳梗塞の症状が一時的に出現しますが、普通は5~15分くらい、長くても24時間以内に症状は消えてしまいます.そのため脳梗塞の重大な前兆ととらえられず、見逃されることが多いようです.一過性脳虚血発作が起こってから90日以内に10~15%の人が脳梗塞を発症しています.脳梗塞の半数は一過性脳虚血発作から48時間以内に発症しています.一過性脳虚血発作は切迫脳梗塞であり、「崖っぷち段階」である緊急事態なのです.原則としてその日に入院が望ましいとされています.おかしいと感じたら、躊躇せずすぐに専門医を受診するようにしましょう.